バーンッ! 重く乾いた音が体育館に響き渡る。その振動は、鼓膜だけでなく、床を伝わり、数メートル離れた人間の体にまで届く。
ボルトでしっかりと固定されたゴールの枠に、わざとボールをぶつけて、自分の手に取り戻す。松ヤニで黒くなった直径19センチほどのボールを手の上で2〜3度転がすと、再び狙いを定めてステップを切る。その瞬間。
跳んだ! 止まった! シュートの姿勢で空中に止まる、鳥のような男。スローモーションで再生している画像を見ているかのような、人間離れしたその人は、ハンドボール界のスター、宮崎大輔さん。「こんな遠くまで、わざわざすみません」。腰を低くして、子供のような笑顔でスタッフを気遣う目の前の彼と、さっきまで跳んでいた男が、同じ人間だとは一瞬、思えなくなる。
「空中での感覚ですか? そうですね、本当のことを言うと、止まっている感覚、あるんですよ(笑)。でも、その止まっている間に、頭はフル回転。どの角度で、どんな強さで、どんなスピードでボールを放とうかを考えているから」
175センチとスポーツ選手としては比較的小柄な体格ながら、垂直跳び90センチという驚異の跳躍力を誇る。
「ハンドボールは、走る、跳ぶ、投げるといった基本運動を総合的に発揮できるスポーツ。本当に面白いんですよ! がむしゃらになれる球技なんです。いや、ほかのスポーツに目がいくのはわかるんです。僕も中学時代、バスケットボール部に入りたい、なんて思った時期があったから。特に男のコは、モテたいからスポーツ選手になる、みたいなところがあるし(笑)、華やかなものに流されがちですよね。でも、よかったら、一度でいいからハンドボールの試合を見てもらいたい。そして、僕のようなプロ選手がいる、ということも知ってもらいたい」 |

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ハンドボールの名門、大分国際情報高校時代は、毎日、朝練のほかに午後3時から11時まで練習に励んだという。そして、高校2年でインターハイの得点王、3年で高校選抜とインターハイの得点王という記録を残す。卒業後は日本体育大学に進学。世界学生選手権では得点ランキング2位に入り、ベスト7にも選ばれる。けれど、「もっとうまくなりたい」という一心で、大学を休学し、スペインに留学する。
「スペインはすごいんですよ。強豪ヨーロッパの中でも特に強い。試合も、小さな体育館ではなく、大きなドームスタジオのようなところでやる。スポットライトを浴びて選手一人一人が登場し、拍手を浴びる。試合が始まれば大声での声援が、失敗すれば容赦ないヤジが飛ぶ。そして、シュートが決まれば、会場全体が揺れるような喝采が巻き起こる。僕はそこで、世界のレベル、そしてハンドボール選手のスター性を知ってしまったんです」 |

自分の身体能力の高さとセンス。世界レベルと日本。そして今、置かれている環境。それをきちんと把握し、それでもなお、その顔に、あきらめや暗さはない。
「天井効果という言葉を座右の銘にしているんです。天井効果とは、文字どおりの意味。たとえば、小さな虫かごにバッタを入れるとしますよね。最初は、野生で生きているものだから、天井にガンガンぶつかる。でも、そのまま入れておくと、虫かごの高さ以下までしか跳ばなくなる。環境に慣れて、低くしか跳ばなくなるんです」
熱のこもった声で語る宮崎選手自身が、そういう経験をしているのだ。
「スペインから戻って、日本で試合に出たとき、シュートがことごとく決まったんですよ。まるで独り舞台だった。まわりからも、宮崎大輔のための試合だったんじゃないか、なんて皮肉を言われるくらいで。でも僕は喜べなかった。それだけ世界の天井は高いってことだったんです。ここにいたらダメになってしまうかも……。まだまだ僕は若く、教えてもらいたいレベルなのに、ここにいると僕が教える立場になってしまう。僕も気づかないうちに、天井にぶつからないようにしか跳ばなくなってしまうかもしれない……そんなふうにも思いました」 |

けれど、宮崎選手は現在も、海外ではなく、ここ日本で、大崎電気所属のプロ選手として活躍している。
「気づいたんですよね。否が応でも。ハンドボールが、日本では、世間では、マイナーだってことに。試合で勝っても、すごいプレイをしても、街を歩いていて、誰も気づかない(笑)。だからこそ、メジャーなスポーツにしたいと思ったんです。僕が目立つことで、ハンドボールに注目する人が増えればいいなって。だから最近は、試合や練習以外にも、テレビなどにも積極的に出演して“ハンドボールメジャー化宣言”を掲げているんです。それは結局、ハンドボール人口を増やすことにつながっていく、ハンドボールを面白いと思う人を増やすことになっていく、と信じているから。ハンドボールを広げるって、すごいことでしょ?」
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| レザージャケット136,500円/コレクションプリベ(ミュージアムフォーシップス渋谷店)シャツ6,195円/ドゥコンセプトラボ(オンワード樫山) ベスト13,650円、パンツ17,850円、ブーツ39,900円/以上アバハウス(アバハウスインターナショナル) |
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宮崎大輔選手は何王子!?
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1981年6月6日生まれ。プロハンドボール選手。2000年世界学生選手権・最優秀選手賞。03年大崎電気に入部。日本リーグオールスター優秀賞2回受賞。第29回日本リーグ大会最優秀殊勲賞、ベスト7、MVP、新人王に輝く。第45回全日本実業団選手権新人賞獲得。05年世界選手権出場。06年『スポーツマンNo.1決定戦』(TBS系)で総合No.1に。
DAISUKE MIYAZAKI OFFICIAL SITE.(外部リンク)
「Pakila」宮崎大輔公式応援サイト(外部リンク) |

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